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登山後に膝が痛くなる理由と対策|下山時の膝痛を防ぐ方法を徹底解説

写真:Miguel Vieira, Wikimedia Commons(CC BY 2.0)

登山後に膝が痛くなる理由と対策|下山時の膝痛を防ぐ方法を徹底解説

登山後・下山時の膝の痛みについて、日本整形外科学会や整形外科クリニックの公開情報をもとに整理しました。腸脛靭帯炎・変形性膝関節症などの一般的な情報、トレッキングポールの研究、早めに受診したい目安をまとめています(診断・治療の助言ではありません)。

目次

  1. 下山で膝が痛くなる理由
  2. 膝が痛むときに考えられること(一般的な情報)
  3. 膝の外側が痛む:腸脛靭帯炎(ランナー膝)
  4. 膝の内側・全体が痛む:変形性膝関節症など
  5. 原因は診察で確認します
  6. 受診の目安
  7. 山行の組み立てで気をつけたいこと
  8. トレッキングポールについて
  9. 筋力トレーニングやサポーターについて
  10. まとめ
  11. 参考リンク

この記事は、診断や治療を行うものではなく、一般的な情報提供です。膝の痛みの原因は、人によって異なります。痛みが続く場合や、下の「受診の目安」に当てはまる場合は、医療機関(整形外科)で診察を受けてください。2026年10月11日に、日本整形外科学会などの公開情報をもとに書き直しました。旧版にあった「体重の3〜5倍の衝撃」「ポールで20〜30%軽減」「トレーニングの回数」「サポーターの効果」など、出典を確認できなかった数字や断定は削除しています。

登山のあとに「膝が痛い」「階段を下りるのがつらい」という経験をした人は、少なくありません。この記事では、公開されている医療情報をもとに、下山時の膝の痛みについて知っておきたいことと、受診の目安、山行の組み立て方を整理します。

結論

  1. 膝の外側が下りで痛む場合、腸脛靭帯炎(ランナー膝)のことがあります。ただし、半月板の損傷など、別の原因のこともあります。
  2. 膝が腫れる、熱をもつ、引っかかる、力が抜ける、痛みが続くなどの場合は、自己判断せず、医療機関を受診してください。
  3. トレッキングポールには、下り坂で膝への負担を減らす可能性を示した研究があります。ただし、小規模な研究です。
  4. 運動の内容や回数は、医師や理学療法士に相談してください。
山を下山するハイカーたちの写真
下山は、膝に負担がかかりやすい場面です。写真:Miguel Vieira, Wikimedia Commons(CC BY 2.0)
痛む場所で考えられるものの例と、早めに受診したい目安をまとめた図
下山時の膝の痛みの整理と受診の目安。作成:山日記(出典:日本整形外科学会、岸谷整形外科クリニック、アリナミン製薬 健康サイト)。診断・治療を示すものではありません

下山で膝が痛くなる理由

斜面を歩く動作を調べた日本の研究(12名の健常成人男性)では、斜面を下る歩行で、平地や斜面を昇る歩行に比べ、歩行周期を通じて膝関節の伸展モーメント(膝を支える力)が有意に大きいと報告されています(CiNii Research「斜面歩行における関節負荷の検討」)。下りでは、膝に負担がかかりやすいといえます。具体的な倍率は、条件によって違うため、この記事では載せません。

膝が痛むときに考えられること(一般的な情報)

膝の外側が痛む:腸脛靭帯炎(ランナー膝)

腸脛靭帯は、太ももの外側を縦に走る丈夫な帯です。膝を曲げ伸ばしすると、膝の外側の骨(大腿骨外側上顆)の上を動き、使いすぎ(オーバーユース)で擦れて、炎症が起きて痛むことがあります。岸谷整形外科クリニックの解説では、次のように説明されています。

  • 階段を下りるときや下り坂で、膝の外側が痛む、響くのが代表的なサインです
  • 膝が約30度曲がったあたりで靭帯と骨が最も近づくため、着地で膝が軽く曲がる瞬間に痛みが出やすいとされています
  • 登山や長距離の歩行など、膝の曲げ伸ばしを繰り返す活動で起こりえます。急に登山や長距離歩行をしたあとに発症する人もいます
  • 多くは、手術をせず、運動量の調整とリハビリで改善していくとされています

原因として、急な運動量の増加、下り坂や硬い路面、お尻の筋力不足、股関節まわりの硬さ、O脚傾向などの脚のアライメント、すり減った靴・合わない靴が挙げられています。

ただし、膝の外側の痛みには、半月板の損傷や関節の中の問題など、別の原因が隠れていることもあります。

膝の内側・全体が痛む:変形性膝関節症など

日本整形外科学会によると、変形性膝関節症は、主な症状が膝の痛みと水がたまることです。初期は、立ち上がりや歩き始めなど、動作の開始時だけ痛み、休めば痛みが取れます。進行すると、正座や階段の昇り降りが困難になります。原因は関節軟骨の老化によることが多く、肥満や遺伝的な素因も関係します。診断は、問診や診察、X線検査で行います。

原因は診察で確認します

膝の痛みの原因は、症状だけでは決められません。X線で骨に異常がなくても、軟骨や半月板などの状態は、画像だけでは分かりにくい場合もあります(ひざ関節痛相談)。痛みの場所が同じでも、原因が違うことがあります。

受診の目安

次のような場合は、自己判断せず、整形外科などの医療機関に相談してください。

  • 膝が腫れる、熱をもつ、発熱がある(アリナミン製薬 健康サイトは、急に膝が腫れて痛くなった、発熱などがある場合は速やかな受診を勧めています)
  • 痛みが激しく耐えられない
  • 引っかかる、力が抜ける、ひねったなどのきっかけがある(岸谷整形外科クリニック)
  • 歩き始めからすぐ痛む、日常生活でも痛む(同)
  • 痛みが続いている、繰り返す

登山中に、歩けないほど痛む、膝がぐらつくなどの場合は、無理に歩き続けず、同行者と相談して下山方法を検討してください。状況によっては、救助の要請も考えてください。

山行の組み立てで気をつけたいこと

以下は、上記の情報を踏まえた、一般的な心がけです。痛みがある人は、医師に相談してから計画してください。

  1. 急に増やさない:急な運動量の増加が原因の一つとされています。距離や標高差は、少しずつ増やします。
  2. 下りの時間が長い山を避ける:下り坂や硬い路面は、膝の外側への負担が偏りやすいとされています。
  3. 靴を確認する:靴底の外側だけが極端にすり減っている場合は、負担が偏っているサインとされます。合わない靴は避けてください。登山靴の選び方も参考にしてください。
  4. 痛いまま登らない:痛みを我慢して続けると、治るまでの期間が長くなることがあると説明されています(岸谷整形外科クリニック)。

トレッキングポールについて

下り坂でポールを使うと、膝への負担が下がる可能性を示した研究があります。25度の下り坂で、8名の男性が、ポールを使う場合と使わない場合で歩いた研究(Journal of Sports Sciences, 1999)では、ポールの使用で、床反力、膝関節モーメント、脛骨大腿関節の圧縮力・せん断力が12〜25%減少しました。減少は、主に、ポールに力をかけたことと、上半身がやや前に傾くことによるものとされています。ただし、対象は少人数の男性で、斜面の条件も限られた実験です。実際の山でも同じ効果があるとは限りません。

また、日本の別の研究(日本機械学会、2018年)では、ポールにかかる圧力は、登りでは大きく、下りでは小さかったと報告されています。使い方は、状況や人によって違います。

ポールの選び方・使い方は、トレッキングポールの記事をご覧ください。

筋力トレーニングやサポーターについて

  • 運動療法:日本整形外科学会は、変形性膝関節症の治療や予防に運動療法が大切とし、ひざを支える筋肉(大腿四頭筋など)を鍛えることを紹介しています。ただし、症状は人によって異なり、運動の内容や回数は、かかりつけの医師と相談するよう案内しています。旧版にあった回数や期間の目安は、削除しました。
  • サポーター:一時的に痛みが軽くなる人もいますが、サポーターだけで治るものではなく、あくまで補助と考えるよう、岸谷整形外科クリニックは説明しています。
  • アイシング:岸谷整形外科クリニックは、運動後に膝の外側が熱をもつときは、アイシングが有効としています。旧版の時間や回数の目安は、削除しました。

まとめ

下山時の膝の痛みは、原因が一つとは限りません。この記事の情報は、あくまで一般的なものです。腫れ、熱、引っかかり、力が抜ける感じ、続く痛みがある場合は、早めに医療機関を受診してください。そのうえで、距離や標高差を少しずつ増やし、靴を確認し、必要に応じてポールを活用してください。


参考リンク

装備選びや安全登山に関する他の記事もあわせてご覧ください。

最終更新: 2026年10月12日 23:42

執筆・確認

山日記編集部

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