
写真:Alpsdake, Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0)/蝶ヶ岳から見た奥穂高岳
奥穂高岳 登山ガイド|上高地(涸沢・ザイテングラート)コースと岳沢(重太郎新道)・白出沢・穂高縦走、穂高岳山荘・涸沢ヒュッテ情報【2026年】
奥穂高岳(3,190m)の登山ガイド。上高地から横尾・涸沢・ザイテングラートを経由するコースや岳沢(重太郎新道)・白出沢・穂高縦走の参考タイム、長野県のグレーディング(体力度7・難易度C〜E)、穂高岳山荘・涸沢ヒュッテ・岳沢小屋の2026年営業情報、上高地・新穂高へのアクセスを公式情報をもとにまとめました。
目次
奥穂高岳(おくほたかだけ)は、北アルプス(飛騨山脈)南部の穂高連峰の主峰で、長野県松本市と岐阜県高山市の県境に位置する標高3,190mの山です。北アルプス最高峰・日本第三位の高峰であり、山頂には「日本アルプス総鎮守」の銘がある穂高神社嶺宮が鎮座しています(北アルプス山小屋友交会)。穂高連峰は奥穂高岳のほか涸沢岳(3,110m)、北穂高岳(3,106m)、前穂高岳(3,090m)、西穂高岳(2,909m)などからなり、剱岳・谷川岳とともに日本三大岩場の一つに数えられ、日本百名山にも選定されています(穂高岳山荘・北アルプス山小屋友交会)。
まず結論:奥穂高岳はこんな山
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 標高 | 3,190m(北アルプス最高峰・日本第三位) |
| 所在地 | 長野県松本市・岐阜県高山市 |
| 主な登山口 | 上高地(標高1,504m)、新穂高温泉 |
| 長野県グレーディング | 上高地<涸沢>往復:体力度7・難易度C/穂高縦走(北穂→前穂)周回:体力度7・難易度E |
| 参考タイム | 上高地〜涸沢〜ザイテングラート〜穂高岳山荘 往路約9時間・復路約7時間20分、山荘〜奥穂高岳 片道約50分(穂高岳山荘・北アルプス山小屋友交会) |
| 主な山小屋 | 穂高岳山荘、涸沢ヒュッテ、涸沢小屋、岳沢小屋、北穂高小屋(宿泊は予約制) |
| 2026年営業期間 | 穂高岳山荘・涸沢ヒュッテ・岳沢小屋:4月27日〜11月3日(涸沢ヒュッテは5月11日〜31日工事休業) |
| 注意点 | ザイテングラートや山荘直上のハシゴ場など険しい岩稜帯が続く。1日で上高地から穂高岳山荘まで登ることは困難とされ、途中1泊以上の計画が推奨される |
出典:長野県「長野県山岳グレーディング一覧表」、穂高岳山荘、北アルプス山小屋友交会
コースと参考タイム
長野県山岳グレーディング(穂高連峰関連ルート)
長野県および10県2地域「日本百名山グレーディング一覧表」では、上高地発着の以下のルートが掲載されています(コースタイムは休憩を含まない目安)。
| ルート | 体力度 | 技術的難易度 | 参考タイム | ルート長 | 累積登り/下り |
|---|---|---|---|---|---|
| 奥穂高岳(上高地)<涸沢>往復 | 7 | C | 約17時間42分(17.7時間) | 36.6km | 2,080m/2,080m |
| 【周回】穂高縦走(上高地)<北穂高岳→奥穂高岳→前穂高岳> | 7 | E | 約19時間12分(19.2時間) | 27.1km | 2,370m/2,370m |
| 北穂高岳(上高地)<涸沢>往復 | 7 | D | 約16時間00分(16.0時間) | 34.7km | 1,970m/1,970m |
| 前穂高岳(上高地)<重太郎新道>往復 | 4 | D | 約10時間18分(10.3時間) | 12.5km | 1,620m/1,620m |
出典:長野県「長野県山岳グレーディング一覧表」、10県2地域「日本百名山グレーディングルート一覧表」
1. 上高地〜涸沢〜ザイテングラートコース(一般ルート)
上高地から明神・徳沢・横尾・本谷橋を経て涸沢カールに入り、急峻な岩場であるザイテングラート(支稜)を登って白出のコル(穂高岳山荘)から奥穂高岳山頂を目指す、最も一般的なコースです。穂高岳山荘は、初めて穂高岳に登る場合はこのコースの往復とし、途中で1泊する日程を組むよう案内しています。
- 穂高岳山荘「ルートガイド」の目安(休憩含まず)
- 上高地〜涸沢〜ザイテングラート〜穂高岳山荘:往路 約9時間00分/復路 約7時間20分
- 北アルプス山小屋友交会(穂高岳山荘・涸沢ヒュッテ)の区間目安
- 上高地 →(約1時間)→ 明神 →(約1時間)→ 徳沢 →(約1時間)→ 横尾 →(約1時間)→ 本谷橋 →(約2時間)→ 涸沢 →(ザイテングラート経由・約2時間30分)→ 穂高岳山荘 →(約50分)→ 奥穂高岳山頂
出典:穂高岳山荘「ルートガイド」、北アルプス山小屋友交会「穂高岳山荘」「涸沢ヒュッテ」
2. 岳沢〜重太郎新道〜前穂高岳〜吊尾根コース
上高地から岳沢小屋へ登り、急勾配の「重太郎新道」で紀美子平へ上がって前穂高岳を往復したのち、「吊尾根」と呼ばれる岩稜を縦走して奥穂高岳・穂高岳山荘へ至るルートです。紀美子平〜岳沢小屋間は急勾配が続き事故が多発しているため、特に悪天候時の通行には注意が必要です(穂高岳山荘)。
- 上高地〜岳沢〜重太郎新道〜前穂高岳〜穂高岳山荘:往路 約8時間40分/復路 約7時間10分(前穂高岳往復含む・休憩含まず、穂高岳山荘「ルートガイド」)
- 岳沢小屋からの区間目安:上高地 →(約2時間30分)→ 岳沢小屋、穂高岳山荘 →(約1時間)→ 奥穂高岳 →(約4時間、前穂高岳往復+約1時間)→ 岳沢小屋(北アルプス山小屋友交会「岳沢小屋」)
出典:穂高岳山荘「ルートガイド」「登山道状況」、北アルプス山小屋友交会「岳沢小屋」
3. 新穂高温泉〜白出沢コース(健脚者向き)
岐阜県側の新穂高温泉から白出沢を登り、穂高岳山荘へ直登するルートです(往路 約9時間05分/復路 約6時間05分)。途中に山小屋はなく、重太郎橋〜鉱石沢間は岩がもろく落石が多発しているほか、鉱石沢の鎖の支点に破損箇所があり、増水時は重太郎橋が通行不能となる場合があるため経験者との同行が推奨されています(穂高岳山荘)。
出典:穂高岳山荘「ルートガイド」「登山道状況」
4. 北穂高岳・大キレット・西穂高岳方面への縦走(上級・エキスパート向き)
- 北穂高岳〜涸沢岳〜穂高岳山荘・槍穂高縦走:北穂高岳〜涸沢岳間は危険箇所が多数ある上級者コースです。槍ヶ岳から大キレットを越えて奥穂高岳まで縦走する「槍穂高縦走」は、上高地発着の全行程で往路約20時間30〜45分/復路約19時間05〜20分(槍ヶ岳往復含む)を要し、3泊以上の日程が必要とされています(穂高岳山荘)。
- 西穂高岳〜ジャンダルム〜奥穂高岳縦走:新穂高温泉発着の全行程で往路約11時間55分/復路約10時間45分。一般登山道ではなくバリエーションルート(難ルート・エキスパート向き)と位置づけられており、西穂山荘〜穂高岳山荘間に山小屋はなく、過去に緊急エスケープルートとされていた天狗のコルからの下りは崩落が激しく通行不能と案内されています(穂高岳山荘)。
出典:穂高岳山荘「ルートガイド」「登山道状況」
山小屋・テント場(2026年営業情報)
| 施設名 | 2026年営業期間 | 2026年宿泊料金(大人1名・税込) | テント場(予約不要・1人1泊2,000円) |
|---|---|---|---|
| 穂高岳山荘(白出のコル・標高約2,996m) | 4月27日〜11月3日宿泊まで(11月4日は売店のみ) | 1泊2食15,500円/1泊2食+弁当16,900円/素泊まり11,000円(高山市宿泊税込、水・トイレ込) | 約60張(水・トイレ代込、先張り方式) |
| 涸沢ヒュッテ(涸沢カール) | 4月27日〜11月3日(※5月11日〜31日は建物基礎改修工事のため休業) | 1泊2食16,000円/素泊まり11,000円(9/13〜10/13は+2,000円、6/1より松本市宿泊税+200円、弁当1,500円) | 涸沢野営場(水無料、7/18〜10/12はWEB予約制レンタルテントあり) |
| 岳沢小屋(標高2,170m) | 4月27日〜11月3日 | 1泊2食16,000円/1泊3食(弁当付)17,500円/素泊まり11,200円 | 約30張(水・トイレ代込) |
| 北穂高小屋(北穂高岳直下) | 4月28日〜11月3日 | 1泊2食15,500円/素泊まり11,000円(トイレ利用料込) | 約20張(水無料・小屋にて提供、トイレ利用料込) |
- 予約方法:各山小屋の宿泊は完全予約制です。穂高岳山荘は宿泊日の1ヶ月前(前月同日)午前8時よりWEBまたは山荘直通電話で受付、岳沢小屋は1ヶ月前の午前9時よりWEB(事前決済制)または電話で受け付けています(穂高岳山荘・北アルプス山小屋友交会)。
- 穂高岳山荘の設備・レンタルヘルメット:涸沢岳直下の雪解け水「天命水」を引いており、小屋泊・テント泊利用者は無料、立ち寄り利用者は1L=200円(売店横セルフサービス)です。奥穂高岳山頂や稜線縦走向けにレンタルヘルメット(1回1,000円)が用意されています。営業期間外は別棟の冬期避難小屋(1人1泊1,000円)が開放されます(穂高岳山荘)。
出典:穂高岳山荘「宿泊のご案内」「テント泊のお客様へ」「施設のご紹介」、北アルプス山小屋友交会「穂高岳山荘」「涸沢ヒュッテ」「岳沢小屋」「北穂高小屋」
アクセス
上高地方面
- 電車・路線バス:JR松本駅からアルピコ交通上高地線で新島々駅へ出て路線バスに乗り換えるか、JR松本駅・JR高山駅からバスを利用します。東京・大阪・名古屋・長野方面からは上高地バスターミナルへの直行バス(「さわやか信州号」「毎日あるぺん号」)も運行しています(穂高岳山荘)。
- マイカー規制:上高地はマイカー規制があり、釜トンネルより先は一般車両が通行できません。長野県側の「沢渡(さわんど)」駐車場、または岐阜県側の「平湯」駐車場でシャトルバス・タクシーに乗り換えます(穂高岳山荘)。
新穂高温泉方面
- 電車・バス:JR高山駅から濃飛バス(新穂高直通または平湯乗り換え)、またはJR松本駅からバスを乗り継いでアクセスします(穂高岳山荘)。
- マイカー:新穂高周辺の登山者用駐車場を利用します。連休などの混雑日は満車となり、違法駐車の摘発が厳格化されているため公共交通機関の利用が呼びかけられています(穂高岳山荘)。
出典:穂高岳山荘「登山口までのアクセス」
注意点
- 穂高岳山荘直上のハシゴ場と岩稜帯の滑落・落石:穂高岳山荘から奥穂高岳山頂へ向かうすぐ上のハシゴ場付近やザイテングラートでは転滑落・落石事故が多発しています。雨天時は岩場が濡れて滑りやすくなるため、ヘルメットを着用し慎重に通行してください(穂高岳山荘)。
- 15時までの山小屋到着:標高3,000mの稜線では夕方以降の行動は視界不良や気温低下、夜間救助が不可能であることからリスクが高く、穂高岳山荘では昼過ぎ〜15時ごろ(遅くても16時)までに到着・受付できる計画を立てるよう推奨しています(穂高岳山荘)。
- 残雪・初雪と防寒対策:7月上旬までは雪山装備と技術が必要であり、9月下旬からは降雪・積雪の可能性があります。盛夏期でも穂高岳山荘付近(標高約3,000m)の夜間気温は5℃近くまで下がるため、透湿素材の雨具やフリース・ダウン等の防寒着が必須です(穂高岳山荘)。
- パノラマコースの残雪:涸沢〜屏風の耳方面のパノラマコースは夏期も多量の残雪が残るため、9月〜10月中旬のみの開通とされ、通行前に涸沢ヒュッテ・涸沢小屋への確認が必要です(穂高岳山荘・北アルプス山小屋友交会)。
参考リンク
- 穂高岳山荘 公式サイト「ルートガイド」
- 穂高岳山荘 公式サイト「登山道状況」
- 穂高岳山荘 公式サイト「穂高連峰の紹介」
- 穂高岳山荘 公式サイト「3000m級登山の注意点」
- 穂高岳山荘 公式サイト「宿泊のご案内」
- 穂高岳山荘 公式サイト「テント泊のお客様へ」
- 穂高岳山荘 公式サイト「施設のご紹介」
- 穂高岳山荘 公式サイト「登山口までのアクセス」
- 北アルプス山小屋友交会「槍・穂高連峰の山小屋紹介」
- 北アルプス山小屋友交会「穂高岳山荘」
- 北アルプス山小屋友交会「涸沢ヒュッテ」
- 北アルプス山小屋友交会「岳沢小屋」
- 北アルプス山小屋友交会「北穂高小屋」
- 長野県「長野県山岳グレーディング一覧表(2026年版)」(PDF)
- 10県2地域「日本百名山グレーディングルート一覧表」(PDF)
執筆・確認
山日記編集部
実際の山行記録や公的機関・自治体の最新情報をもとに、登山ルート・装備・安全対策をわかりやすく整理して発信しています。 登山道・交通・施設情報は変わるため、記事公開後も必要に応じて更新し、最新確認先も案内しています。
