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登山初心者が失敗しやすいこと10選|ありがちなミスと防ぎ方をわかりやすく解説

写真:SGrabarczuk (WMF), Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0)

登山初心者が失敗しやすいこと10選|ありがちなミスと防ぎ方をわかりやすく解説

登山初心者がやりがちな失敗を10個にまとめ、なぜ起こるのか・どう防ぐのかを解説します。軽装、靴、水分と行動食、雨具、綿の服、遅い出発、コースタイムの読み違い、地図アプリ、休憩の取り方、有名な山での油断まで、警察庁の遭難統計も交えて整理しました。

目次

  1. 結論|初心者の失敗は「準備不足」と「見積もりの甘さ」から起こる
  2. ひと目でわかる|失敗しやすいこと10選と防ぎ方
  3. データで見る|山の遭難は「道迷い」と「転倒」が多い
  4. 準備で起こりやすい失敗(1〜5)
  5. 1. 「低山だから大丈夫」と軽装で行く
  6. 2. 靴を軽く考える
  7. 3. 水分と行動食が足りない
  8. 4. 雨具を「雨予報じゃないから不要」と考える
  9. 5. 綿の服やジーンズで行ってしまう
  10. 計画と歩き方で起こりやすい失敗(6〜10)
  11. 6. 出発が遅い
  12. 7. コースタイムをそのまま鵜呑みにする
  13. 8. 地図アプリを入れただけで安心する
  14. 9. 休憩しすぎる、または休憩しなさすぎる
  15. 10. 「みんな行っている山だから安全」と思い込む
  16. 前日に確認したいチェックリスト
  17. 最初の山で意識したい考え方
  18. まとめ
  19. 参考リンク
  20. 関連記事

結論|初心者の失敗は「準備不足」と「見積もりの甘さ」から起こる

登山を始めたばかりのころは、体力や根性が足りないことよりも、「山で何が起こりやすいかを知らないこと」で失敗しがちです。

高尾山のような初心者向けの山でも、軽装すぎる、飲み物が足りない、時間を見誤る、道をよく確かめない、といった小さなミスが重なると、一気に余裕がなくなります。

先にポイントをまとめます。

  • 準備不足:持ち物、服装、靴、地図、天気の確認が足りない
  • 見積もりの甘さ:距離、時間、体力、混雑、気温差を軽く見てしまう
  • 山では、ひとつの大きな失敗より、小さな判断ミスが積み重なってしんどくなることが多い
  • だから最初は「すごい装備」より、よくある失敗をひとつずつ外すことが大切

この記事では、初心者が特にやりがちな失敗を10個に絞って、なぜ起こるのか、どう防げばいいのかを整理します。

ひと目でわかる|失敗しやすいこと10選と防ぎ方

No ありがちな失敗 防ぎ方
1 「低山だから大丈夫」と軽装で行く レインウェア・防寒着・ヘッドランプ・飲み物は削らない
2 靴を軽く考える 滑りにくく、かかとが安定する靴を選ぶ
3 水分と行動食が足りない 飲み物と、すぐ食べられる行動食を別に持つ
4 雨予報でないから雨具を持たない 上下セパレートのレインウェアを毎回持つ
5 綿の服やジーンズで行く 速乾性のある服を重ね着する
6 出発が遅い 早めに歩き始めて、早めに下りる
7 コースタイムをそのまま信じる 休憩・下り・混雑の時間を足して計画する
8 地図アプリを入れただけで安心する 地図の保存、分岐の確認、モバイルバッテリー
9 休憩が極端になる 少し疲れる前に、短く休む
10 「有名な山だから安全」と思い込む やさしい山でも山は山、と考える

データで見る|山の遭難は「道迷い」と「転倒」が多い

警察庁のまとめによると、令和7年(2025年)の山岳遭難は3,122件、遭難者は3,623人でした。遭難した理由(態様別)は、次のとおりです。

態様 割合
道迷い 30.9%
転倒 19.2%
滑落 17.3%
疲労 9.8%
病気 8.1%

道迷い・転倒・疲労は、この記事で紹介する「地図の確認不足」「靴選び」「時間配分」「水分や行動食の不足」と深く関係しています。

また同じ資料では、高尾山の遭難者は令和7年に106人で、過去5年の平均(101.4人)より増えています。初心者向けの有名な山でも、遭難は毎年起きています。

準備で起こりやすい失敗(1〜5)

1. 「低山だから大丈夫」と軽装で行く

初心者が最もやりがちなのが、近い山や有名な観光地の山を街歩きの延長で考えてしまうことです。

標高が低くても、山では風、雨、汗冷え、転倒、日没の遅れがふつうに起こります。特に春と秋は、街では快適でも、山頂や休憩中は意外と冷えます。

低山でも軽装で行くと起こりやすい危険と、防ぎ方の基本
低山でも、風・雨・汗冷え・転倒・日没の遅れは起こります。レインウェア・防寒着・ヘッドランプ・飲み物の4つは削らないのが基本です。

防ぎ方はシンプルで、低山でも次の4つは削らないことです。

「使わないかもしれないけれど持っていくもの」を持てるかどうかで、安心感がかなり変わります。

2. 靴を軽く考える

「整備された道ならスニーカーでいいでしょ」と考えて、滑りやすい靴や履き慣れていない靴で行く失敗もよくあります。

初心者向けの山では、難しい岩場よりも、ぬかるみ、木の根、下りの段差でつまずく場面のほうが多いです。靴底がすり減った普段履きや、クッションが柔らかすぎる靴は、思った以上に歩きにくく感じます。

杉林の中の登山道に、木の根が網の目のように張り出している様子
木の根が張り出した登山道。濡れていると特に滑りやすく、靴底のグリップとかかとの安定感が大切になります。写真:Koda6029, Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0)

靴は、最低限次の条件を意識して選びましょう。

  • 滑りにくい
  • かかとが安定する
  • 長時間歩いても足が痛くなりにくい
  • 雨のあとでも不安が少ない

最初から重い登山靴が必須とは限りませんが、山を歩く前提で靴を選ぶことはとても大切です。

3. 水分と行動食が足りない

「日帰りだし、そんなにいらないかな」と考えて、水や食べ物を少なめにしてしまうのもよくある失敗です。

実際は、慣れていないぶん疲れやすく、汗もかき、休憩も増えます。水分やエネルギーが足りなくなると、足が重い、集中できない、イライラする、ペースが落ちるなど、気づきにくい形で影響が出ます。

特に起こりやすいのは、次のようなケースです。

  • 飲み物が足りず、後半に一気にしんどくなる
  • 昼ごはんだけ持って、行動食を持っていない
  • 暑いのに塩分や糖分を考えていない

日帰りでも、飲み物+すぐ食べられる行動食は別に持っておくと失敗しにくくなります。飲み物の量は「体重(kg)×行動時間(時間)×5」mlで失う水分の目安を出し、その7〜8割を補給する考え方があります(運動生理学者・山本正嘉さんの計算式)。エネルギー切れの防ぎ方はシャリバテの記事で詳しく解説しています。

4. 雨具を「雨予報じゃないから不要」と考える

山の天気は変わりやすく、平地で晴れていても、山では風や霧、にわか雨が出ることがあります。

初心者ほど「降ったら下りればいい」と考えがちですが、雨が降り出してから下山するまでには、かなり時間がかかることも多いです。濡れたまま風を受けると、暑い季節でも体は冷えます。

また、レインウェアは雨具であると同時に防風着でもあります。休憩中に羽織るだけでも、体の冷え方がかなり違います。

コンビニの簡易ポンチョではなく、できれば上下セパレートのレインウェアを持っていきましょう。

5. 綿の服やジーンズで行ってしまう

服装の失敗で多いのが、普段着の延長で綿のTシャツやジーンズを選んでしまうことです。

綿は汗や雨で濡れると乾きにくく、体温を奪いやすい素材です。ジーンズも動きにくく、濡れると重くなるので、登山には向きません。

難しく考えなくても、最初は次の組み合わせで十分です。

部位 選び方
上(肌着) 速乾性のあるTシャツや長袖
中 薄手の上着(フリースなど)
外 レインウェアやシェル
下 動きやすいパンツ

汗冷えを防ぐ肌着は速乾性インナーの記事、重ね着の考え方はレイヤリングの記事で詳しく紹介しています。

計画と歩き方で起こりやすい失敗(6〜10)

6. 出発が遅い

初心者の登山は、思ったより時間がかかります。写真を撮る、休憩が増える、道を確かめる、登りでペースが落ちるなど、予定どおりに進まない前提でいたほうが安全です。

ところが、朝ゆっくりしすぎて出発が遅れると、次のような流れになりがちです。

  1. 山頂に着くのが昼過ぎになる
  2. 下山が夕方にずれ込む
  3. 気持ちに余裕がなくなる
  4. 「急がなきゃ」と焦って転びやすくなる

初心者のうちは特に、早めに歩き始めて、早めに下りる計画を基本にしましょう。

7. コースタイムをそのまま鵜呑みにする

登山地図やアプリの「標準コースタイム」は、あくまで目安です。たとえば昭文社の「山と高原地図」のコースタイムは、40〜60歳の登山経験者が2〜5人のグループで、山小屋泊の装備を背負い、夏山の晴天時に歩くことを前提にしていて、休憩時間は含まれていません。

そのため、「往復4時間と書いてあるから余裕」と思っていたのに、実際は休憩込みで5〜6時間かかった、ということは珍しくありません。

初心者なら、次のように見積もるのが現実的です。

  • 標準コースタイムに、休憩の時間を足す
  • 下りの時間もきちんと見込む(下りは疲れが出て遅くなりがち)
  • 混雑や写真を撮る時間も含める

8. 地図アプリを入れただけで安心する

地図アプリはとても便利ですが、入れているだけでは役に立ちません。ありがちなのは次のような失敗です。

  • 圏外で地図を開けない
  • 現在地の見方がわからない
  • 分岐でどちらへ進むか判断できない
  • スマホの電池が足りない
石垣の前に立つ木製の道標。高尾山口駅1.3km、高尾山ビジターセンター2.6kmと書かれている
高尾山の登山道にある道標(2013年4月)。分岐では道標と地図アプリの両方で、進む方向を確かめる習慣をつけましょう。写真:Rob Young, Wikimedia Commons(CC BY 2.0)

少なくとも出発前に、次の3つはやっておくと安心です。

  1. 地図を事前にダウンロードして保存しておく
  2. スタート地点と分岐をざっと見ておく
  3. モバイルバッテリーを持つ

警察庁も、道迷いを防ぐために地図やコンパスを持って常に自分の位置を確かめること、登山地図アプリと紙の地図を併用することを勧めています。アプリの使い方はヤマレコの記事も参考にしてください。

9. 休憩しすぎる、または休憩しなさすぎる

初心者はペース配分が難しく、休憩の取り方が極端になりがちです。

疲れて長く座り込みすぎ、体が冷えてしまう人もいれば、反対に「止まるとしんどくなるから」と無理に歩き続けてバテてしまう人もいます。

失敗しにくいのは、少し疲れる前に、短く休むことです。

  • 喉が渇き切る前に飲む
  • お腹が空き切る前に少し食べる
  • 暑くなりすぎる前に一枚脱ぐ

こうした早めの対応のほうが、立て直しやすくなります。

10. 「みんな行っている山だから安全」と思い込む

高尾山、筑波山、御岳山のような有名な山は、人が多く設備もありますが、それだけで安全が保証されるわけではありません。人が多い山でも、次のようなことはふつうに起こります。

  • 混雑による渋滞
  • 雨のあとの滑りやすさ
  • ルートの選び方による難易度の差
  • 下山時の疲れによる転倒
高尾山の山頂広場で、遠くの山並みを眺める大勢のハイカー
大勢のハイカーでにぎわう高尾山の山頂(2015年5月)。人が多い山でも、前述のとおり遭難は毎年起きています。写真:Koda6029, Wikimedia Commons(CC0)

むしろ初心者向けの山ほど、「有名だから大丈夫」と油断しやすいのが落とし穴です。やさしい山でも山は山、という意識を持っておきましょう。

前日に確認したいチェックリスト

失敗を減らすなら、前日に次のことを確かめるだけでもかなり違います。

「なんとなく大丈夫そう」ではなく、ひとつずつ確認しておくほうが、当日の焦りを減らせます。

最初の山で意識したい考え方

最初から完璧な登山をする必要はありません。ただ、初心者のうちは「頑張ること」よりも、次の考え方が役に立ちます。

  • 無理のない、短めの山を選ぶ
  • 早出を基本にする
  • 装備を削りすぎない
  • 少し余るくらいで準備する
  • しんどくなる前に対処する

登山は、ぎりぎりまで我慢するより、余裕を残して動く人のほうが失敗しにくいものです。

まとめ

登山初心者が失敗しやすいのは、特別なミスではなく、軽装、水分不足、時間配分の甘さ、地図の確認不足のようなよくある基本の抜けです。

  • 低山でも、レインウェア・防寒着・ヘッドランプ・飲み物は削らない
  • 靴は「山を歩く前提」で選び、服は綿を避けて重ね着にする
  • 飲み物と行動食は多めに。休憩は疲れる前に短く
  • 早めに歩き始め、コースタイムには休憩や下りの時間を足して計画する
  • 地図アプリは事前に地図を保存し、分岐で現在地を確かめる
  • 有名な山でも「山は山」と考えて準備する

まずは「低山でも準備する」「早めに動く」「無理しない」の3つを意識して、安心して歩ける山から経験を積んでいきましょう。

参考リンク


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最終更新: 2026年10月12日 23:42

執筆・確認

山日記編集部

実際の山行記録や公的機関・自治体の最新情報をもとに、登山ルート・装備・安全対策をわかりやすく整理して発信しています。 登山道・交通・施設情報は変わるため、記事公開後も必要に応じて更新し、最新確認先も案内しています。

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